今回はネットでよく見かける3.11人工地震説からみる陰謀論の暴き方を考える。




この説でよく言われているのは、地下に穴を掘って核爆弾を爆発させるというものが多い。以前はHAARP兵器によるものだという説もあったが、最近では核爆弾を利用したものという説が一般的だ。
 

3.11人工地震説の信ぴょう性

確かにそれらしいデータはある。
代表的なのはこのサイトで、人工地震だと思われるデータを数多く掲載している。

その一方で、それは違うと説明しているサイトも複数ある。
多くのサイトで人工地震だとする根拠に地震の波形画像を使用しているが、このサイトによればそれは根拠として乏しいものだと説明されている。

いちいち細かいデータまでここでは検証しないが、一見すると確かに人工地震だと信じてしまうようなデータは多いような印象は受けた。


証拠が証拠と呼べない?

陰謀論で大事なのはとにかく証拠だ。陰謀論系のサイトでは証拠として実に様々なものが挙げられている。

しかしそれは本当に証拠と呼べるものなのかは疑わしい

さて、ここで考えてみよう。普通の事件を捜査するときに証拠として何を使うだろうか。
それは、指紋やDNA、防犯カメラといった確固たる証拠だけだ。

犯人が青い服を着ていたという目撃証言だけで青い服を来ている人を逮捕するようなレベルの証拠では、証拠として不十分である。

陰謀論でよく使われる証拠は実際このレベルの話が多いのだ。

一見すると科学的に正しいデータでも実は調べるとどこかに間違いがあったり、そもそもただの勘違いや早とちりが証拠として一人歩きしているケースも多い。

今回の人工地震のケースでも確かに信憑性の高そうなデータはあるが、同時に否定される程度の話も多くあり、確実といえるほどの証拠はまだないと言える。




陰謀をする理由を考える

陰謀論を考える上で証拠と並んで大事なのは理由・動機である。
そもそもなぜ人工地震を引き起こす必要があったのか?

同じ陰謀論でも9.11陰謀論には世論を戦争へと先導するという明確な理由はあった。
しかし3.11には目に見えてくる大きなメリットがないのだ。

確かに建築関連の業績は上がっているし、火力発電・原油関連の企業も当時は儲かっただろう。しかし、人工地震という大量虐殺をしてまでも成し遂げるほどのものとはとても思えない。
他に考えられるのは、ユダヤ系財閥による仕業、TPP等で日本を脅すための手段など、それこそ陰謀論レベルの話ばかりになってしまう。とにかく明確な理由が見えてこないのだ。



陰謀論が真実だと仮定すると色々と見えてくる

実際にこれらが本当だと仮定してみよう。

すると、アメリカという国は大量殺人を平気で引き起こす国で、自国民の安全保障が脅かされない非戦争時でも平気で民間人を大量虐殺する国家となってしまう。さらに国のトップ層達も平気でその判断を下して承認していることになり、例え指示を出したのが大統領ではなく軍産複合体などであっても結局は同じことである。国家存亡のためといった大きな目的があるわけでもないのに、平気で何万人もの民間人を殺すことを何とも思わない人々がそうそういるとは、にわかには信じがたいし必ずどこかでバレるだろう。

要するに、人工地震が本当だと仮定するとさらに陰謀論めいた事まで信じなければならなくなってしまい、さらに信憑性が落ちてしまう結果になる。


陰謀論の暴き方まとめ

1.証拠としているものの信憑性を確かめる
2.理由・動機を考える
3.それが本当だと仮定した時の矛盾点を考える



以上によって、3.11人工地震説は陰謀論としてはだいぶ弱いと言える。
データはまだまだ分析の余地はあるのは確かだが、動機などを考えるとかなり弱くなってしまうのが現実だ。



それでもこの手の陰謀論に「絶対」は禁物である。
一部の超絶トンデモ論を除けば、どんな陰謀論でも完全に否定しきることは難しい

例えば、イルミナティの陰謀が無いと証明するには地球上のあらゆる箇所を調査して何も無い事を証明しなければならないし、 エリア51に宇宙人がいないことを証明するには施設に侵入して隅から隅まで調べあげるしかない。しかしそれは一般人には到底不可能なことだ。

同様に3.11が人工地震かどうかを調べたとしても、たとえ人工地震自体が可能な技術だったところで、アメリカが実際にそのシステムを開発・運用し、その時に実際に使用したという軍事機密の証拠を抑えない限り人工地震だとは断定できない。


陰謀論というのは結局、権力相手の調査には限界があるため、完全に肯定も否定もし切るのは極めて難しく、与えられた情報からどれが真実に近いのか個人で予想するだけの話でしかないともいえる。
とにかく、何かを絶対に信じるようになってプチ宗教化してしまってはダメなので、常に客観的に判断していくことを心がけるべきだろう。